【プレスリリース】
核融合実験炉(ITER)向けにMIケーブルの均一薄膜めっき技術を共同開発。
当社は国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構、帝国イオン株式会社と共同で、南フランスに建設中の核融合実験炉(ITER)において、日本が調達するマイクロフィッションチェンバー中性子計測装置の製作に必要となる、均一かつ高精度で、薄膜を実現するめっき技術の開発に成功し、プレス発表を行いました。
同計測装置はITERの出力を評価する重要な装置ですが、高温かつ高放射線環境になるため、ゴムやビニール等の通常のケーブルは使用できず、MIケーブル(無機絶縁物を利用したケーブル)を使用する必要があります。他方、ITERでは、運転状態を維持するためにプラズマに加熱用マイクロ波を入射する必要があり、このマイクロ波の一部がMIケーブルを過熱し、損傷を招くことが大きな問題となっていました。この問題を可決する方法の一つはマイクロ波の過熱を低減できる銅めっきをMIケーブルに施すことですが、めっき厚が厚くなると、今度は電磁力という異なる力の影響を受けやすくなるということが課題でした。このためITERでは、銅をMIケーブル表面全長にわたって精度よく均一に薄膜(5ミクロン±1ミクロン)めっきすることが求められていましたが、この技術は存在しませんでした。
そこで、3社は共同で新たなめっき技術の開発に取り組みました。その結果、均一なめっき作業を可能とする回転式めっき装置を新たに開発するとともに、同装置を使った高精度のめっき厚み管理を実現し、ITERの要求性能を満足する高精度な銅めっきを実現しました。
説明会の様子
回転式めっき装置を新たに開発
この新しいめっき技術は核融合研究にとどまらず、医療分野などで利用される粒子加速器の導波管など、高精度なめっきが要求される幅広い分野への応用が期待できるため、特許出願を行い、2021年6月に特許を取得しました(特許第6893001号)。
【プレス掲載一覧】
2022.6.4 神戸新聞
2022.5.30 日刊工業新聞
2022.5.27 日本経済新聞
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