AEROPAK®シース熱電対

AEROPAK(エアロパック)とは当社のシース熱電対の商標です。シース熱電対であるエアロパックの構造は、ステンレス鋼や耐熱鋼で作られた細い管(シース)の中に熱電対素線を封入し、その周囲を無機絶縁物である酸化マグネシウムで固く充填したものです。この構造をベースとして用途に応じた様々な製品が作られます。一般に用いられる保護管式熱電対と比べ、シース熱電対は多くの優れた特長を持っています。

AEROPAKシース熱電対の画像

熱電対の原理

熱電対とは、種類の異なった2本の金属線の両端を接続したもので、この両端の接点に温度差が生じたとき、この閉回路に熱起電力が発生し、回路に電流が流れます。この熱起電力の大きさとその極性は、両端の温度と2本の金属線の組み合わせによって決まり金属線の太さや長さには影響されません。従って、特定の熱電対の各温度における熱起電力をあらかじめ知っておくことで温度を測定することができます。

特長

AEROPAKは従来の保護管式熱電対に比較して次のような特長を有しています。

  • 1.広い応用範囲

    外径が細いため、小さな測定物の温度も測定できます。また、シース形の構造であることにより、高温高圧に耐え、-200~1260℃までの広い温度範囲で使用できます。

  • 2.高応答性

    小さな外径のものは熱容量が小さいため、温度変化に敏感に応答します。

  • 3.取り扱いが容易

    最小曲げ半径はシース外径の2倍です。現場においても容易に様々な場所へ取り付けられます。

  • 4.長寿命

    従来の熱電対と比較し熱起電力の劣化や断線等の事故に対し、化学的に安定した、酸化マグネシウムで絶縁され、気密が保たれているためより長い寿命となります。

  • 5.機械的強度・耐圧性

    高振動、腐食性雰囲気、高温、低温の筒所でもシース材質を選ぶことで安心して使用できます。外径の細いシースでも650℃で約350MPaの耐圧強度があります。

  • 6.製造可能シース外径

    0.08mmから22mmまでのシース外径を製造できます。

  • 7.製造可能シース長さ

    シース外径により、約1000mまで製造可能です。

  • 8.特殊なニーズに対応

    シース専門工場を持ち、様々なニーズに対応できます。

AEROPAK®シース熱電対の標準仕様 JIS C1605

シース(mm) 心線径(mm) 熱電対の種類とシース材質(代表例)
O.D. 外径 t 肉厚 SN SK SE SJ ST
シングルエレメントの画像

シングル
エレメント

Φ0.08

シース外径の

10%以上

シース外径の
10%以上(4)

- B - - -
Φ0.1 B
Φ0.15
Φ0.25
B・SA
Φ0.5

シース外径の
15%以上

C・B・SA C
Φ1.0 C・B・K C・B・K・SA

C

C
Φ1.6

C・B・K・SN

Φ3.2
Φ4.8
Φ6.4 D・B・K

D・B・K・SN

Φ8.0 D・B D・B・K・V・SN
ダブルエレメントの画像

ダブル
エレメント

Φ1.6

シース外径の

 10%以上 

 シース外径の
15%以上

C・B・K

C・B・K・SN

C

C C
Φ3.2
Φ4.8
Φ6.4 D・B・K

D・B・K・SN

Φ8.0 D・B D・B・K・V・SN
トリプルエレメントの画像

トリプル
エレメント

Φ4.8

シース外径の

10%以上

シース外径の
10%以上(4)

C・B C・B C C C
Φ6.4 D・B D・B
Φ8.0

シース材質:B=NCF600eq(1) C=316SS D=310SSS K=H2300(2) V=ハステロイ-X SA=SC1000H(5) SN=SC1000N(5)

  • (1)

    NCF600eq.はインコネル600相当です。

  • (2)

    H2300はHOSKINS2300®用特殊シース材です。

  • (3)

    表記以外のシース外径、シース材質でも製作できますのでご相談ください。(例)347SS、321SS、316LSS等

  • (4)

    シース外径Φ0.25以下及びトリプルエレメントはJIS適用外です。

  • (5)

    SC1000H、1000Nは高温用スーパーカップルで心線径はシース外径の20%以上です。

AEROPAK®シース熱電対の最大製作長さ、概算質量

シース外径(mm) Φ0.08/Φ0.1 Φ0.15 Φ0.25 Φ0.5 Φ1.0 Φ1.6 Φ3.2 Φ4.8 Φ6.4 Φ8.0
シース製作最大長さ(m) *1 *1 150 290 425 165 600 260 145 90
概算質量(g/m) 0.1以下 0.3 1.2 5 10 45 100 180 280

*1 その都度お問い合せください。

測温接点の種類

記号 種類 形状 特長 適用シース外径(mm)
シングル ダブル トリプル
G
(♯8)
接地形 接地形の画像
  • 約350MPa以上の耐圧がある。
  • 電磁誘導障害の有る場所には不適当。
Φ0.5~
Φ8.0
Φ1.6~
Φ8.0
Φ4.8~
Φ8.0
U
(♯9)
非接地形 非接地形の画像
  • 接地形より感度が遅いが、測定対象に制限されることが無く、最も一般に使用されている。
  • エレメントが絶縁物で覆われており、長寿命。
Φ0.08~
Φ8.0
Φ1.6~
Φ8.0
Φ4.8~
Φ8.0
U
(♯5)
非接地分離形 非接地分離形の画像
  • ダブルエレメントの1対毎に測温接点を設け、指示計、記録計と分離した回路となる。
  • 特長は非接地形と同一。
- Φ3.2~
Φ8.0
Φ4.8~
Φ8.0
(♯6) 露出形 露出形の画像
  • エレメントが露出しているので感度が早い。
  • エンジンの排ガス等気体の温度測定に適する。
  • 他の測温接点に比べて機械的に弱い。
Φ1.0~
Φ8.0
Φ3.2~
Φ8.0
Φ4.8~
Φ8.0

熱電対の許容差と各国適用規格一覧

規格
種類
JIS C1605 規格
種類
IEC 60584-2 ASTM E230
温度範囲 クラス 許容差℃ 温度範囲 クラス 許容差℃ 温度範囲

許容差℃
SN&
SK
-40℃以上+375℃未満 1 ±1.5 N&K -40℃以上+375℃未満 1 ±1.5 0℃以上+1260℃未満 STD. ±2.2or
±0.75%
+375℃以上+1000℃未満 ±0.004|t| +375℃以上+1000℃未満 ±0.004|t|
-40℃以上+333℃未満 2 ±2.5 -40℃以上+333℃未満 2 ±2.5 SP. ±1.1or
±0.4%
+333℃以上+1200℃未満 ±0.0075|t| +333℃以上+1200℃未満 ±0.0075|t|
-167℃以上+40℃未満 3 ±2.5 -167℃以上+40℃未満 3 ±2.5 -200℃以上0℃未満 STD. ±2.2or
±2%
-200℃以上-167℃未満 ±0.015|t| -200℃以上-167℃未満 ±0.015|t|
SE -40℃以上+375℃未満 1 ±1.5 E -40℃以上+375℃未満 1 ±1.5 0℃以上+870℃未満 STD. ±2.2or
±0.75%
+375℃以上+800℃未満 ±0.004|t| +375℃以上+800℃未満 ±0.004|t|
-40℃以上+333℃未満 2 ±2.5 -40℃以上+333℃未満 2 ±2.5 SP. ±1or
±0.4%
+333℃以上+900℃未満 ±0.0075|t| +333℃以上+900℃未満 ±0.0075|t|
-167℃以上+40℃未満 3 ±2.5 -167℃以上+40℃未満 3 ±2.5 -200℃以上0℃未満 STD. ±2.2or
±2%
-200℃以上-167℃未満 ±0.015|t| -200℃以上-167℃未満 ±0.015|t|
SJ -40℃以上+375℃未満 1 ±1.5 J -40℃以上+375℃未満 1 ±1.5 0℃以上+760℃未満 STD. ±2.2or
±0.75%
+375℃以上+750℃未満 ±0.004|t| +375℃以上+750℃未満 ±0.004|t|
-40℃以上+333℃未満 2 ±2.5 -40℃以上+333℃未満 2 ±2.5 SP. ±1.1or
±0.4%
+333℃以上+750℃未満 ±0.0075|t| +333℃以上+750℃未満 ±0.0075|t|
ST -40℃以上+125℃未満 1 ±0.5 T -40℃以上+125℃未満 1 ±0.5 0℃以上+370℃未満 STD. ±1or
±0.75%
+125℃以上+350℃未満 ±0.004|t| +125℃以上+350℃未満 ±0.004|t|
-40℃以上+133℃未満 2 ±1.0 -40℃以上+133℃未満 2 ±1.0 SP. ±0.5or
±0.4%
+133℃以上+350℃未満 ±0.0075|t| +133℃以上+350℃未満 ±0.0075|t|
-67℃以上+40℃未満 3 ±1.0 -67℃以上+40℃未満 3 ±1.0 -200℃以上0℃未満 STD. ±1or
±1.5%
-200℃以上-67℃未満 ±0.015|t| -200℃以上-67℃未満 ±0.015|t|
  • (1)

    許容差とは、熱起電力を規準熱起電力表によって換算した温度から、測温接点の温度を引いた値の許される最大限度をいう。

  • (2)

    ASTMの許容差は℃または測定温度の%のどちらか大きな値とする。

  • (3)

    |t|は+、-の符号に無関係な温度(℃)で示される測定温度である。

  • (4)

    クラス1、2、3は旧JISの0.4、0.75、1.5級に対応する。

  • (5)

    JIS、BS、DIN規格はIEC規格と同一である。

  • (6)

    ASTM規格は旧ANSI規格である。

  • (7)

    規格年度は最新版を適用する。

熱電対素線の構成材料 JIS C1605

記号 +脚 ー脚
SN(N) ニッケル、クロムおよびシリコンを主とした合金 ニッケルおよびシリコンを主とした合金
SK(K) ニッケルおよびクロムを主とした合金 ニッケルを主とした合金
SE(E) ニッケルおよびクロムを主とした合金 銅およびニッケルを主とした合金
SJ(J) 銅およびニッケルを主とした合金
ST(T) 銅およびニッケルを主とした合金

使用温度範囲(大気中) 単位:℃

記号 SN/SK SE SJ ST
Φ0.08 (*1)400
Φ0.1 (*1)400
Φ0.15 (*1)400
Φ0.25 (*1)500 (*4)700
Φ0.5 (*1)600 (*4)900
Φ1.0 650 (*3)1000
(*4)900
650 450 300
Φ1.6 650 (*3)1100
(*4)1000
(*5)800
650 450 300
Φ3.2 750 (*3)1200
(*4)1000
(*5)900
750 650 350
Φ4.8 800 (*3)1260
(*5)1050
800 750 350
Φ6.4 (*1)1000 (*2)800 (*3)1260
(*5)1050
800 750 350
Φ8.0 (*1)1050 (*2)900 (*3)1260
(*5)1050
800 750 350

(*1)印シース材質はNCF600eq. (*2)印シース材質は310S SS (*3)印シース材質はHOSKINS2300
(*4)印シース材質はSC1000H  (*5)印シース材質はSC1000N 無印 シース材質は316SS

基本モデル

T35:補償導線付シース熱電対

最も基本的なモデルで、屋内での使用に適します。

補償導線付シース熱電対の画像

T110/R110:プッシュプルコネクタ付き温度センサー

ラッチングシステム採用で時間を大幅に短縮でき、丈夫・軽量・安全であらゆる分野で真価を発揮します。

A形コネクタ付シース熱電対の画像

T96N:屋外形シース熱電対

防滴形端子箱が付属したタイプで、屋外での一般的な環境での使用に適します。

A形コネクタ付シース熱電対の画像

T97N:耐圧防爆形シース熱電対

石油精製や石油化学プラント等爆発性ガスの発生する恐れのある、危険場所での使用に適します。構造規格d2G4に準拠して設計されています。

A形コネクタ付シース熱電対の画像

T99N:水素防爆・耐圧防爆形シース熱電対

石油精製や石油化学プラント等で特に水素を含む爆発性ガスの発生する恐れのある、危険場所での使用に適します。技術基準ExdIICT6に準拠して設計されています。ATEX(CEマーキング)やFM(米国)、FMC(カナダ)、NEPSI(中国)、KOSHA(韓国)、TR CU(ロシア)、TR CU(カザフスタン)、TR CU(ベラルーシ)、PESO(インド)、OSHA(台湾)防爆対応品があります。他、海外防爆を多数取得しています。日本国内向けのみ耐圧パッキン式コネクターの付属が必須です。

T99N:水素防爆・耐圧防爆形シース熱電対

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