2005.09.22 更新

 当社の製品に関わる、良くある質問と回答を集約して掲載します。回答に使用する資料は社内データを元にしておりますが、一部は公になった文献等を採用し、さらに、温度センサに関しては(社)日本電気計測器工業会(JEMIMA)の温度計測委員会にて作成した「温度計測100のFAQ」資料を引用させていだだきます。現在製作中のため、熱電対のみ公開しております。
熱電対関係
補償導線関係
保護管
電気ヒータ
No.
質問の内容
回   答
01
● 熱電対の絶縁抵抗が低下した場合の影響は?

 熱電対はその設置箇所の影響、絶縁材の経時的な劣化、製造中の湿気の侵入等が原因で現場にて使用中に絶縁抵抗が低下することがある。問題なく使用できるケースが多いが、その場合、実際にどの程度の影響があるのか?また、どの程度の絶縁抵抗低下まで許容できるか?

 詳細はpdfファイルに別途示すが、結論は下記。
 実験結果と理論の計算結果は、数値としてはかなり異なるが、傾向としてどちらもほぼ同様な結果が得られた。すなわち、絶縁抵抗は50kΩ程度あれば性能に悪影響は与えない。また、1kΩ程度の場合で、JISクラス1と同等の誤差である。
 従って、実際に使用する現場での経験則はほぼ正しいものといえ、JIS規定の抵抗値以下に絶縁抵抗が低下しても、正確な温度計測は可能であるといえる。
 但し、温度計測上、問題のない程度の絶縁抵抗低下でも、時間の経過とともにさらに低下する恐れはある。従って、絶縁抵抗が1MΩを下回るような場合は、早めの交換を推奨する。また、絶縁抵抗の低下時はノイズの影響も受けやすいので、周囲にノイズ源がある場合は注意が必要である。

02
● 熱電対(補償導線)の極性を間違えて配線した場合は?

 熱電対・補償導線のカラーコードは各国の規格により大幅に異なり、配線作業時に極性を間違えることがある。その場合の温度指示は?

 熱電対と補償導線の接続部は、熱電対付属の端子箱や接続箱(ジャンクションボックス)であり、接続部は大気温度となるケースが多い。従って、端子箱等から受信計器の端子までを極性を間違えて接続した場合は、端子箱部分の温度と受信計器端子の温度の差が誤差に影響する。もし、両者の温度差がなければ誤差は生じないが、夏や冬では温度差が極めて大きくなるため10℃以上の誤差も生じうる。
 極端な例として、夏期に端子箱部分が40℃に達し、受信計器部分は20℃であったとすると、熱電対種類がEの場合、本来の極性通りであれば40℃での熱起電力2420μVと20℃での熱起電力1192μVの差である1228μVの熱起電力を発生する。ところが、極性を間違えると全く逆の負の熱起電力となるため、その部分で-1228μVの熱起電力となるため、本来の熱起電力から-2456μVの熱起電力となる。この値は測定温度500℃程度の温度で換算すると、-30℃低い指示となる。
 また、端子箱部分のみ極性を間違え、受信計側が正しい場合は、熱電対が逆に接続されたこととなるため、さらに大きな誤差となる。同様に受信計側のみ間違えた場合は補償導線を含めて熱電対が逆に接続されたこととなり、より大きな誤差となる。
03
● 熱電対と補償導線の接続部分の温度が100℃以上になってしまった場合の影響は?

 熱電対の設置環境によっては、接続部分(スリーブ又は端子箱)の温度が100℃以上の高温になる場合がある。影響は?

 当社製品の最も基本的なシース熱電対はT35形という、シース熱電対の端末に補償導線を接続したタイプである。シース内部の熱電対線と補償導線をつなぎ換える際に、シースの端部の防湿シールと補償導線の固着のためにスリーブという部分を設け、内部にエポキシ系の接着剤を充填している。


 このエポキシ樹脂は標準として耐熱温度80℃の流動性の良いものを採用し、補償導線にも標準では耐熱温度100℃以下のものを採用している。従って、100℃以上の温度にさらされると様々なトラブルが発生し、思わぬ事態を引き起こしうるので、注意が必要である。予想されるトラブルは下記のとおり。
(1)高温になるとエポキシ樹脂が膨張して内部の素線を引っ張り、断線にいたらしめる。
(2)より高温になるとエポキシ樹脂が炭化し、絶縁性能を維持できなくなり短絡状態となる。
(3)補償導線の熱起電力の保証温度が100℃以下なので、それ以上の温度になると誤差が大きくなる。
  なお、事前に、100℃以上になることが判っている場合は、対応した設計は可能である。耐熱温度が高く、また低熱膨張率のエポキシ樹脂の選定と、補償導線ではなく被覆熱電対線を使用することで、最高200℃から260℃までの温度に対応できる。

04
● 熱電対を端子等で接続する場合の誤差は?

 一般的なプロセスでの計装では、熱電対の端末をJ.BOX等に集めて汎用の端子台を用いて補償導線へつなぎ代えることが多い。異種金属接続となるがその誤差は?

 一般的な計測手法では、コスト低減のために熱電対で温度を計測し、離れた箇所にある計測器までは補償導線で延長する。安価な卑金属熱電対(K,E,J,T)であっても、熱電対線と補償導線の価格を比較すると差が出るため、補償導線が使用される。
 その際、熱電対と補償導線を端子箱で接続するが、市販の標準的な端子盤を用いて接続することが多い。補償導線は熱電対とほぼ同等の熱起電力特性を持った導線であるが、端子板に用いる金属板は銅合金がほとんどで、+側・−側どちらも同一金属種である。そのため、異種金属が熱電対回路に混在することとなり、誤差の発生を懸念されることがある。
 厳密には、熱電対回路に異種金属が介在し、その両端に温度差が生ずると誤差が生じることとなる。従って、端子部の熱電対接続側と補償導線接続側の10数mm程度の間に温度差が生じなければ誤差はないと言える。通常の使用方法では両者の距離で温度差が大きく出るような使用方法は考えにくく、端子部の温度は均一であるとの前提で使用されている。
 但し、設置環境が相当厳しく、常に端子部の温度が高かったり、温度変化が激しいと予測されるような箇所では接続部分に温度差が生じるおそれもある。その際には端子板や、熱電対端末の圧着端子を含めて熱電対と同一材質で製作して対応することがある。
05
● 熱電対から計測器まで距離が離れているため、補償導線を使用するが、距離の制約と精度への影響は?

 発電所や大型化学プラント等の現場では、温度計測箇所から計器室まで数kmの距離になる場合がある。その場合の問題点は?

 熱電対回路はその原理から、使用する熱電対材料と両端の温度のみによって発生する熱起電力は決定され、熱電対線の線経や長さによって特性が変わることはない。従って、測定部分が細く、途中が太くても影響はないし、また、薄板の熱電対でも測定精度上問題はない。
 但し、熱起電力を計測する計器側には制約があり、計器への入力抵抗に何Ωまでという制約が必ずある。そのため、発電所等の大規模なプラントでは補償導線の線経を太くして長距離伝送を行っている。
 最近ではシース熱電対で外径の細いニーズが高まり、熱電対部分だけで高抵抗になるケースもある。例えば、化学プラントのリアクタ等ではφ0.5のシース熱電対を10数m使用するため、その部分だけでkΩを超える値となりそのままでは計測誤差が大きくなると言う問題が発生した事がある。その時の解決方法は、計器内部のバーンアウト検出回路をOFFにすることで、熱電対側の導線許容抵抗を増やして対応した。